-----BEGIN PGP SIGNED MESSAGE----- Hash: SHA1 - -- まぶたの異常運動について Sender: owner-i Precedence: bulk Reply-To: yamagk@purple.plala.or.jp Second Opinion - i@mail i@メール お問合わせの多いご質問に対する一般的な回答です。                   やまむら眼科医院 山村 敏明 素人の方が「まぶたがケイレン(痙攣)する」と表現する症状について、その原因、病気の種類と主な治療法などにつき、解説いたします。  下記のような症状であれば、眼科・脳外科・神経内科等にて受診をおすすめいたします。    1) 両眼のまぶたが同時にケイレンする・・・・眼瞼痙攣  不随意(止めようと思っても思い通りにならない)に、まばたきが多くなったり、両まぶたが閉じてしまう(指を使ってまぶたを開ける必要がある)病気です。本態性眼瞼痙攣は、40才代以降の女性に多い病気です。口の周囲、あご、舌、のど(咽頭)も痙攣することがあります。最近では、ボツリヌス毒素A製剤(BTX-Aと略)を眼輪筋(まぶたを閉じる筋肉)に注射する方法が日本でも普及しつつあります。ただし、効果は一時的ですので、約3ヵ月毎に再治療が必要となります。    2) 左右のまぶたに起こるケイレン・・・・顔面チック  「まばたき」「顔をゆがめる」「頭を傾ける」などの常同性の運動が不随意に起こります。睡眠中は止まっています。また、短時間であれば、意識的に運動を抑制することもできますが、抑制することで返って緊張します。ジルデツーレット症候群(Tourette)とよばれる病型の場合、70-90%の症例で薬物治療が有効のようです。    3) 常に片眼性である・・・・片側性顔面痙攣  初発症状(約90%の症例において)は、片眼のまぶたの痙攣です。次第にケイレンは同側の顔面に拡がります。会話などで顔面の筋肉を使っている間、ストレス・不安・疲労時に症状は強くなります。顔面神経の根部(中枢側)が、異常血管、腫瘍、骨などにより圧迫されて起こると言われています。近傍にある三叉神経も障害されると、痛みを伴うようになります。頭部の検査がとても大切です。最近の治療は、BTX-A治療、微小血管手術です。前者の治療で改善率95%との報告もありますが、髄膜腫などの腫瘍による神経圧迫の場合、当然原因治療も必要です。    4) 下まぶたが”虫が這うように”動く・・・顔面ミオキミー 皮膚表面が比較的ゆっくりと波状運動のように動くので、”虫が這うように”見えます。主に、片側の下まぶたと頬が波動運動のように、しかも持続性に動きます。”ピクピク”ではありません。  良性:激しい運動時、疲労時にもみられます。他に、多発性硬化症の初期症状のこと(脳幹部病巣)があります。帯状ヘルペスによる「Bell 麻痺」の病後にも起こります。このような良性型の持続期間は、2週から6ヵ月です。  悪性:長期間持続します。原因として、中脳の腫瘍が最も多いといわれています。  頭部検査が必須です。 5) その他の原因  synkinesia(共同運動):帯状ヘルペスなどによる「Bell 麻痺」後にみられます。口、あごを動かすとまぶたが閉じてしまいます。  fasciculation(筋線維束攣縮):  episodic ataxia 1型:眼瞼ないし顔面のミオキミーが本症(遺伝性失調疾患)の発作時に出現します。   参考文献:  1) Wang A.他:Hemifacial spasm: Clinical findings and treatment. Muscle & Nerve 21:1740-1747(1998)   2) Sharma RR.他: Persistent facial myokymia: A rare pathognomic physical sign of intrinsic brain-stem lesions: Report of 2 cases and review of literature. J Postgrad Med 38:37-40(1992)   3) 加地正英 他: Myokymia(ミオキミー). 日本臨床 51(11):2866-2870 (1993) -----BEGIN PGP SIGNATURE----- Version: GnuPG v1.2.1 (MingW32) iD8DBQE+WHqsWKpMiVYLcIcRAlb+AKC9k7VmCoyUVXVEbpQ/D46PTS1IiQCgmXRA WbPmNxLdT3q9zYzTNRC6F1M= =gNRJ -----END PGP SIGNATURE-----