-----BEGIN PGP SIGNED MESSAGE----- Hash: SHA1 - -- Sender: owner-i Precedence: bulk Reply-To: yamagk@purple.plala.or.jp Second Opinion - i@mail i@メール お問合わせの多いご質問に対する一般的な回答です。 やまむら眼科医院 山村 敏明 非遺伝性の病気です。片側性のことが多いようです(70%)。弱視、斜視、不同視などを伴うことが多く、早期の診察が必要です。  Walterらの報告(米国インディアナ大学)では、眼瞼下垂65症例(初診時年齢5ヶ月~7才)中、19例に弱視、斜視、不同視などがみられています。 内訳は、    弱視+斜視(外眼筋麻痺を含む) 5    弱視+不同視          3    弱視+斜視+不同視       1    弱視のみ            1    斜視のみ            4    不同視のみ           3    その他(弱視以外)       2 でした(数字は症例数)。  弱視を伴う場合、斜視や不同視を合併しています(1例を除いて)。  65例中10例(15.4%)に弱視がみられています(米国における弱視の有病率1~2%に比べて,かなり高率です)。  また、左右眼を比較すると、眼瞼下垂側は他眼より、乱視・遠視・近視などが必ず強い傾向でした。  Walterらは、以下のような手術成績も発表しています。  65症例全例に手術が行われましたが、術後にも検査ができた症例のうち10例では眼瞼下垂の手術後に乱視が強くなっていました。このうち4例は術後乱視のため、弱視を来たしました。4例の初回手術時年齢は、生後8ヶ月、16ヶ月、2歳、3歳でした。手術を行った65例全例の術後検査ができていないので、   術後乱視発生率(おおよそ)    眼瞼挙筋腱膜切除(短縮)術  11%以上    前頭筋利用吊り上げ法     23%以上   術後弱視発生率          6%以上   となります。  よって、先天性眼瞼下垂の患児では、術前に15%、術後に6%以上の高い頻度で合併する弱視を見逃さず、的確に治療しなければなりません。  このため、手術を行う時期(年齢)は、   弱視となるリスクが高い場合、できるだけ早期、遅くとも1歳半までに手術が必要です(1を優先します)。   弱視、斜視、不同視などがなく、また弱視を来たすリスクがない場合、4~5才頃に手術を受けた方が安全です(2、3、4を優先)。  ----------------------------------------------   1. 視機能の発達のため特に重要な年齢   2. 手術がより正確に施行できる年齢   3. 術後の乱視等が正しく検査・評価できる年齢   4. 患児が社会的ストレスを強く受け始める年齢(入園・入学など) ----------------------------------------------  まぶたが下垂した顔貌では、子供の自尊心、自我、社交性の発達に障害を来たしますので、入園・入学までに手術を行うことが多いようです。  参考文献  1. Walter W,他: Congenital blepharoptosis, anisometropia and amblyopia. Am J Ophthalmol. 89:401-407,1980. 2. Brady KM,他: Surgery of the eyelids. Clin Plast Surg. 25:579-586, 1998. -----BEGIN PGP SIGNATURE----- Version: GnuPG v1.2.1 (MingW32) iD8DBQE+WHqlWKpMiVYLcIcRAss4AJwM88crFr49pUE9iSrfFMa0b0sSrwCgnnEC 1pPotHtujFNOkwIs5cyteuk= =BE+T -----END PGP SIGNATURE-----