-----BEGIN PGP SIGNED MESSAGE----- Hash: SHA1 - -- 結膜下出血 -突然、しろ目が真っ赤になった- Sender: owner-i Precedence: bulk Reply-To: yamagk@purple.plala.or.jp Second Opinion - i@mail i@メール お問合わせの多いご質問に対する一般的な回答です。 やまむら眼科医院 山村 敏明  眼球結膜の毛細血管が破綻(ハタン)し、内出血(眼球結膜の下)したときの、典型的な病歴と症状は、 「今朝、鏡を見たら、右眼のしろ目が真っ赤になっていた。・・・ 痛くない。めやにもでない。かすむこともないが、とても心配!」 です。 病名を 結膜下出血(ケツマクカシュッケツ)といいます。  島根医科大学眼科外来における2年間の継続調査(文献1)では、8、726名の外来患者のうち、2.9%(255名)が、結膜下出血による”レッド アイ”でした。日本の1つの大学病院の眼科外来で、100名中約3名ということです。病気の特徴から、実際には眼科診療所にて受診される機会がもっともっと多いと考えられますので、結膜下出血は、とてもありふれた病気ということになります。  なお、論文では、重傷の「眼のけが」については、対象から除外されています。たとえば、「角膜が裂けた」などの眼外傷に伴う結膜下出血は、この数値には含まれていません。 「結膜下出血」を起こす原因を列記いたします(文献1,2など) 44.3%が原因不明でした(文献1) 起床時、鏡を見たら、「結膜下出血」となっていた症例も少なくないので、睡眠中、眼をこすった・・・しかし、記憶にない・・ということもあるかもしれません。 文献1では、このようなケースは、統計上、原因不明に含まれています。 主な原因 けが(眼をこすった後、・・・、重傷のけが) 高血圧 動脈硬化症 糖尿病 結膜炎 など 他の原因 咳、便秘、嘔吐(胸腔内圧上昇による2次的なもの) お薬の副作用 例)抗凝固薬など 血液の病気 眼窩腫瘍(眼球の後方・周囲の腫瘍) 月 経 まぶたの腫瘍 分 娩 など 臨床統計学上、男女差、発病しやすい年齢はありませんでしたが、年齢別でみると、原因疾患に特徴がありました(文献1)。 0才-19才では、原因の65%(28/43症例)が、眼をこするなどの軽症のけがでした。 50才以上では、23.7%の症例(32/135)に、高血圧症がみられました。  高血圧症は、中高年者(対象とした症例の最高年齢層は70才代)の結膜下出血の原因として、2番目に多いもの(トップは原因不明)でした。また、高血圧症患者の1/5は、眼科受診時はじめて高血圧が発見されたようです(合計36症例について検討)。 結膜下出血に対する一般的な対処法は、   しろ目の一部(ときに全体)が真っ赤”レッド アイ”になったとき、48時間以内(文献2)に、眼科受診をおすすめいたします。全身病、目の病気が原因となることがありますので、余り遅くならない方がよいでしょう。 血圧を測定してもらいましょう。 とくに、両眼が赤くなったとき、血液疾患の有無を検査してもらいましょう。 時間の経過とともに、出血がしろ目の”白い”部分に拡大することがあります。他の症状が悪くならなければ、ご心配いりません。 重傷の「眼のけが」がなければ、1-3週間で、治ってしまいます(自然吸収)。 ただし、血液の塊(血腫といます)ができた時、自然吸収は遅れます。 赤い部分は、茶褐色 → 黄色 → 白色 と変化します。この変化は赤血球のヘモグロビンの変化です。まれに、茶褐色のヘモジデリンが、比較的長期間、残留することがあります。 「けが」「結膜炎」が原因の場合、眼科通院をおすすめいたします。 「目が赤い」ことが、とても気になるとき、目立たなくなるまで薄い着色レンズの眼鏡(サングラスなど)をご使用下さい。 原因、検査の必要性などについては、眼科主治医とご相談下さい。 参考文献  1. Fukuyama J.他: Causes of subconjunctival hemorrhage. Ophthalmologica. 200:63-67(1990) 2. Wilson RJ.: Subconjunctival hemorrhage: overview and management. J Am Optom Assoc. 57:376-380(1986) 以上 -----BEGIN PGP SIGNATURE----- Version: GnuPG v1.2.1 (MingW32) iD8DBQE+WHlZWKpMiVYLcIcRAoXlAJ9AyIwqoah/nzmmRj2IF9zrfzZD7QCdGIoO 5OlV0FE0ypll+aj+PYMfWH0= =Wq7h -----END PGP SIGNATURE-----