-----BEGIN PGP SIGNED MESSAGE----- Hash: SHA1 - -- 慢性涙小管炎 Sender: owner-i Precedence: bulk Reply-To: yamagk@purple.plala.or.jp Second Opinion - i@mail i@メール お問合わせの多いご質問に対する一般的な回答です。 やまむら眼科医院 山村敏明 このような病歴の方は、涙小管炎が疑われます。 * まぶたの鼻側が腫れて、まぶたの縁が赤くなる(急性期)。 * 目やに(眼脂)がいつも出る。 * 抗生剤点眼液を中止すると、症状が悪化する。  * 涙があふれ出ることがある。 * 涙ぶくろ(涙嚢)や鼻涙管(涙嚢と鼻腔との通路)の検査では異常なしといわれた。 * 片眼のみ充血する。 臨床的な特徴 中高年者、とくに女性に多い病気です。 ほとんどの症例が片眼のみの発病です。 文献1)では片眼96% 両眼4%でした。 主に、下まぶたの涙小管に炎症が起きますが、上まぶた単独、上下まぶた同時のこともあります。 涙の排出路なので、強い炎症が起きると、涙が流れ出ることになります。 原 因 細菌感染症です。 半数以上が嫌気性菌です。この中では放線菌とよばれる菌が最も多く検出されます。次いで、好気性菌が続き40%程です。実際には、これらの菌が複数感染しています。      菌の種類(文献1より)       44症例の病変部から検出された100株中    放線菌            20株    ペプトストレプトコッカス   12    バクテロイデス         5    表皮ぶどう球菌        11    ストレプトコッカス(非溶血性) 8    黄色ぶどう球菌         7  など 放線菌の検出方法 菌塊を取り出す方法(診察方法) 涙嚢部、涙小管部を圧迫しますと、膿が逆流し出てきます。さらに、涙小管部を強く圧迫すると(点眼麻酔後、滅菌綿棒などで挟むように)、黄白色の菌塊が出てきます。 検査方法 一般的な細菌培養検査では検出されないことがあります。分泌物を直接、顕微鏡で調べる検査がたいへん有用です。 放線菌はグラム染色陽性の菌糸状、フィラメント状の菌です。 治療法 点眼液などの薬物治療単独では、半数近くの症例で再発がみられます。 抗生剤の局所・全身投与とともに涙小管の閉塞をとり除くなどの手術が必要です。涙小管の壁を切開(涙小管切開術)し、なかにある菌塊、涙石、肉芽組織とよばれる塊をすべて取り除きます。閉塞したところがあれば、チューブ(シリコン性)を挿入します。また、これら療法の併用が必要です。 参考文献 1)Struck HG他(1992年):Zur Diagnostik und Therapie der   chronischen Canaliculitis. Ophthalmologe 89:233-236 以上 -----BEGIN PGP SIGNATURE----- Version: GnuPG v1.2.1 (MingW32) iD8DBQE+WHjdWKpMiVYLcIcRAkNaAKCysy6BqxF5Vdq/LA019tnAKmCUKgCfcYCM +2QGZLNKSRDWwzbpGb/eHyc= =VLME -----END PGP SIGNATURE-----